PLAYNOTE 黒色綺譚カナリア派『少女灯 ~改訂版ドドメ懐古趣味~』

2006年06月30日

黒色綺譚カナリア派『少女灯 ~改訂版ドドメ懐古趣味~』

[演劇レビュー] 2006/06/30 23:39

うちの製作・フジコがちゃっかり Confetti で招待券をゲット。それを譲り受けたなおちゃんに誘われて、偶然のように観て来た。が、観てよかった。ザムザ阿佐ヶ谷にて。

うーん、驚いた。いろいろな意味で予想を裏切ってよかった。当パンの挨拶文を読んだ印象では、何となくアングラ~な芝居なのかな~、と思ってたけど、いや実際その残り香のようなものは感じたけど、とてもよかった。

劇場入ってまず舞台美術がよかった。鉄骨で組んだ足場の下に積み上げられた何百個というケーキの箱、箱、箱。ケーキ工場が舞台のこのお芝居。写実と抽象の間を縫うような美術イメージに加えて、高さの違う複数の足場が芝居を立体的に見せている。上手から下手、高いとこから低いとこへ、シーンごとに使い分けられるだけでなく、別のシーンに次のシーンが割り込んでくるような格好の演出もあったりして非常によかった。

思い切りのいい舞台美術に思い切りのいい照明。食欲の進む取り合わせ。時にセットをセピア調にも見せたと思ったら、とんでもなく無機質に塗り替えたりと、平時はとても丁寧に見せるけど、ここぞというところで爆発。蛍光灯が五本くらい舞台のあちこちに通してあって、ある場面でそれが一斉に明滅するんだけど、あのアイディアには脱帽した。クライマックスでは大胆な照明効果がバンバン入って、ダミアン奥田氏が本気になるとこういうことが起きるのか、と驚いた。

と、美術面もすごくよかったんだが、役者がすごくよかったのが今回一番印象に残ったところ。特に主演・緋色役の牛水里美さんに目と心を奪われっ放しだった。演技が実に天真爛漫で、次に何をするか、どういう表情をするか、全然予想がつかず、裏切られっ放しで目が離せない。動きも大きくキレがあって、あと目玉のギラリ加減がとてもよくて、久々に気持ちいいくらい魅入らせられた役者さんだった。ドドメ役の動物電気の伊藤美穂さんも素晴らしかった。とにかく個性的でぶっ飛んだ役だったけど、細かいとこまでよく作っていて感服。

他の役者さんも、調子よく耳に残る台詞回しや、大きく強い体の演技で、演劇の演技の魅力を再認識させる濃い演技。役者の芯が太いとでも言おうか。中には頼りなげな人もいたが、全体的に役者さんがとてもよかったな。

美術、役者、音響、そして台本と、渾然一体となって今まであまり見たことのない世界観を醸し出す黒色綺譚カナリア派。大正・昭和のかおりのする舞台設定に、よく意味はわからないけれど音韻の愉楽を感じさせてくれる濃い台詞。これくらいやって、初めて「個性」と呼んでいい気がする。そして個性的で濃い内容だけど、細部をすごく丁寧に作っているのには恐れ入る。役者の動きや転換の流れに迷いがなく、安心して芝居に浸かることができた。強烈な印象を与える派手で大きな演出を、すごく丁寧にやっている。

好き嫌いはすごく判れると思うけど、何だかとても気になってしまった劇団さん。骨太。この先の展開がとても楽しみなので、次も観に行きます。

コメント

投稿者:ふじ co (2006年07月01日 23:10)

そんなによかったのかー
行きたかったー

投稿者:Kenichi Tani (2006年07月01日 23:52)

えがったよー
フジコでかした 招待券万歳だぜー
ありがとう。

投稿者:エリカ (2006年07月02日 23:51)

アングラですか?
アングラ分かんねーけど。

投稿者:Kenichi Tani (2006年07月04日 03:18)

アングラとか小劇場とか、ジャンル名で劇団を決めちゃうのはよくないやね。
気をつけます。