PLAYNOTE 池上嘉彦『記号論への招待』

2006年06月30日

池上嘉彦『記号論への招待』

[読書] 2006/06/30 22:00

大学一年のときソシュールの記号論に触れて大きな衝撃を受け、以来記号論には興味があったんだけど、なかなかちゃんと勉強する機会もないので、とりあえずネットでえらく評判のいいこの一冊を手にとってみた。

いま広範な学問・芸術領域から熱い視線を浴びている「記号論」。それは言語や文化の理解にどのような変革を迫っているのか―。ことわざや広告、ナンセンス詩など身近な日本語の表現を引きながらコミュニケーションのしくみに新しい光をあて、記号論の基本的な考え方を述べる。分かりやすくしかも知的興奮に満ちた、万人のための入門書。

しかしよくまとめられている。このまま教科書にされたって文句言わないや。

俺がソシュールに衝撃を受けたのは、もう四年も前の話だからうろ覚えだけど、世界に対する人間の認識能力の優位性とでも言うべきものが論じられていた点。つまり、はじめに犬がいて人間がそれを犬と名付けた、のではなく、人間がそれを犬と名付けたから犬が生まれた、とでもいう考え方。「はじめに言葉ありき」という聖書の言葉を思い出す。

ちょっと補足しようかとも思ったけど、やめた。とてもじゃないが自分の浅学では書けない。
「なぜ英語では“兄”も“弟”も "brother" で、一語で“兄”や“弟”を表す単語がないんだろう?」
「なぜ民族によって虹の色が違うのだろう? 日本は七色、欧米では六色、三つなんていう部族もあって…」
昔の日本には「赤」と「青」しか色がなかったとも聞いたことがある。この辺の仕組み。
そういったことに興味がある人は、ぜひ「ソシュール」でググってみて下さい。新しい認識の形がそこにある。

今回手にした本ではその辺は詳しく書いてなかったけど、構成もわかりやすく説明も丁寧なので記号論に興味がある人にはおすすめ。言語の記号性のみならず、文化論的な話題にも応用の効く考え方なので、知っておいて損はないと思います。