PLAYNOTE 沼、チューリップ、自爆

2006年04月18日

沼、チューリップ、自爆

[お出かけ・旅行] 2006/04/18 20:25

「作家は一つの作品を書き終える度に、一度死ぬ」

という言葉を以前聞いた。全然意味がわからなかったけど、最近わかる。アマチュアですが、ちっぽけな規模ですが、本を書く立場になってわかるようになりました。詳しく書いても伝わらないと思うので、そこは書かない。

机に向かってばかりで相当滅入っていたので、気分転換に近所の名所を回ってきたよ。写真付きで紹介するよ。沼とチューリップと自爆の記録。

家から車で十分くらいのとこにある、手賀沼へ行ったよ。

手賀沼写真
「日本一汚い沼」として有名になった手賀沼。でも風景だけみるととてもきれい。下に大量のヘドロを隠しながら光を撒き散らす湖水。でもきれいなものはきれいだ。

手賀沼写真
携帯でもこんないい写真が取れるんだなぁ。このとき僕はブランキージェットシティを聴いていた。

平和の鳩が小さな子供を埋め尽くした
もがき苦しむ子供は窒息寸前
慌てた母親 バットを振り回す
気を付けな
動物愛護団体が手錠をジャラジャラ言わせながら バスを走らせる

「幸せの鐘が鳴り響き 僕はただ悲しいふりをする」より。ベンジーがこういう社会的なことも歌詞に書くってのは最初意外だったが、いい詩だ。

手賀沼写真
砂場を前に立ち尽くす少女。子供が好きだ。どれもさりげなく撮った。変質者と思われないように。

手賀沼写真
小さい頃、手賀沼でお祭りがあって、そこに行くとき僕は必ずこのミニSLに乗ったものです。レールの上を歩いてみたけど、一周こんなに短かったっけ? あの頃は大冒険な気分だったのになぁ。引き伸ばされて残る子供の頃の思い出。

手賀沼写真
沼を前にして。
しかし、沼しかないのな。子供の頃、親父やお袋に連れられて来たときは、手賀沼っていろんな遊具があって、あれもこれもある、とても楽しい場所だった気がするんだけど、普通の公園で見かけるようなしみったれた遊具がちょこちょことあるだけで、土地自体は閑散としておった。

だが、幸せな家族連れが多く、よい場所であった。

手賀沼写真
子供の車。

手賀沼写真
カルガモ? を見守る親子。

とにかく子供が多く、そしてそれを見守る母親が多く、実に美しい場所であった。俺はあまりにも幸せな空気に溺れそうになりイヤホンのボリュームを上げた。ビールを飲みたかったが原チャで来ていたのでダメだった。警察の前でよりも、子供の前で法を破る方が俺にはよっぽど恐ろしい。子供がそれを見て、ああ世の中ってそういうもんなんだ、って思っちゃったらおしまいだもの。

昔サリンジャーがこう書いていた。
「喜びと幸せの最も著しい違いは、幸せは固体であるに反し、喜びは液体だということだ」
これを読んだとき19歳だった僕は意味がさっぱりわからなかったが、今はよくわかる。わからない人は、とても幸せなまま生きてきた人か、とても不幸か、ただのバカか、どれかだと思う。

公園のベンチで一時間ほど執筆。

途中で地域の図書館に寄る。ここも子供の頃よく来た場所だ。

絵本でも借りるかなぁと思ったらディケンズの『クリスマス・キャロル』の素敵な絵本があった。あとロバート・キャパの写真集があり当然借りる。『親子で読むシリーズ パレスチナ紛争』みたいなのがあって、中身を読まずにタイトルだけで借りた。親子で読むのか…。

よく見ると近隣センターのくせに絵本と料理の本だけではないのだな。小さい頃は気づかなかったけど、クリムトとビアズレ―の画集を発見して驚いた。こんなものガキの頃読んでたら、泣くか狂うか、それともすごく悦ぶか、わからないけど、俺が『アンパンマン』を求めて来てたのと同じ空間にあんなものが置いてあったなんて。子供の頃の思い出には、そういう不吉な影などちっともなかったから、少し戸惑った。

チューリップ

そしてあげぼの山農業公園へ。

あけぼの山写真
ほら、きれいだろう。桜が散ると今度はチューリップが咲き乱れる、千葉県北東部で最も有名な公園だ。よく天気予報とかここからやってる。

あけぼの山写真
なかなか洒落たもんだ。

あけぼの山写真
これが全部チューリップだなんて、見ては来たけど、どうにも信じられない。JUDEの『Sea Sea Honey』を聴きながらガムを噛んだ。

あけぼの山写真
またいい写真を撮ってしまった。最近ふと思ったのだけれど、幸せってのは遠く遠く歩いて行った先にあるものではなくて、そこから帰って来たときに感じるものなんじゃないだろうか。かと言ってその場所に留まりつづけていては感じることはできない。

あけぼの山写真
ここもやはり家族連れがたくさんおり、こういう光景を見ている限りでは、世間で殺人や戦争が起きる理由が、オカルトじみて感じられるほど不可解に思われた。都会とは聞こえる音も漂う匂いも違っていて、やっぱり新宿や池袋に人間は住んじゃいけねぇよ、と思った。都会で手を繋いでいる親子もいるけれど、そこには別の理由がある。

自爆

というようなことがあって、俺は非常に上機嫌であった。着想も沸いたし綺麗なものもたくさん見たし、久々にペシミズムが首を潜め世界中にハッピーな音楽(『ミッキーマウスマーチ』とか『Sea Sea Honey』とか)が流れておった。

そういったハイ(躁鬱でいう躁状態に近い)な気分で原チャをふっ飛ばしていたら、思いっきり横転した。ふっと体が浮いて顎から着地。火花が飛ぶ in my head!

原チャ横転事故
バックミラー。殺人現場みたい。

原チャ横転事故
アラビア中の香水を振り掛けても落ちない血の匂い、という台詞が『マクベス』にあったなぁ、と思い出したシチュエーション。この後、手は文字通り真っ赤になった。

とりあえず立ち上がり、やっべー、これどうにか血とまらねーかな、などと思っていたがどくどく出てくる。ぎゅっと抑えりゃ止まるかしら、と思って触ったら、ぬるっという感触と共に指が腫れ上がった肉の間に入った。いや、これはキモい。後で知ったが横に5cm弱、深さ7mmくらい割けていた。麻痺ってるので痛みはあまりない。

記念に写メを撮った後(血まみれの自分の顎と顔も撮ったけど、あまりにグロいので載せない)、救急車かなぁと思っていたら近くにいた親切な主婦の方々(三人くらい)が救いの手を差し伸べてくれた。おかげですぐ近所の病院へ行くことができた。四針ですんだけど、もうちっとで骨が出るとこだったよ。

最後に自爆したが、面白い一日であった。事故った直後、近くにいた子供たち(俺を助けてくれた主婦の皆様の子供たちだろう)に取り囲まれて猛烈に心配されたので、へらへら笑ってガッツポーズとかとっていた。「交通安全に気をつけようネ!」とか言って。シャツも手も血まみれの男にガッツポーズされて、子供らは嬉しかったのだろうか。

※元気です。

コメント

投稿者:G (2006年04月18日 22:30)

お前相変わらず面白いなぁ。
バイクで横転はやったことあるけど
そこまでのケガはしなかったし、同じようなケガしてたら
絶対こんな平和な記事書くところまでテンション持ってけないと思う。2週間くらいはギャグにできない。
公演間近じゃなかったっけ?大丈夫?
血染めのバックミラーを教訓に、ゴールデンウィークは中免取りに行ってくるぜ。

投稿者:しのぶ (2006年04月18日 22:53)

傷ついたお顔の写真を載せなかった良心に感謝しつつ・・・・あぁ、面白いとか思っちゃだめなんだけど、やっぱ谷くんって面白いなぁ・・・。
元気でよかったです。どうぞお大事にね。

投稿者:Kenichi Tani (2006年04月18日 23:23)

>G
逆に事故ってテンションあがった。

ボクサーって殴られ続けていくとあんま痛みを感じなくなるらしいんだよね。痛覚が麻痺して。多分それに近い感じで、イタイイタイっつーより面白かった。壊れた水道から水漏れしてるような感じで、どくどく血が落ちてたから(笑)。

十日も経てば抜糸できるそうなんで、公演は問題ないよ。

中免?見てもらったお医者さんが「バイクなんか乗るもんじゃない」って言ってたよ。やめなよ(笑)。

>しのぶ
お医者さまはすごいから大丈夫だよ。三回入院して、医者への信頼感はすごく高い俺。

投稿者:myo (2006年04月19日 01:56)

オウオウ、すごいことになってるね。お大事にしてちょうだい。

なかなかの深刻な事態にも関わらず、写メールを撮っちゃったりしている君には、常に主観の中に客観的な視点を忘れない「物書き」としての"性=サガ"を感じるよ。
イヤ、それは同時に、観客という第三者を意識した芸人並みのエンターティメント性と言ってもいいかもしれないね。
その精神は、逆境に対して精神的に強くなるという利点をもたらす反面、冷静な視点が感情をコントロールしすぎて、心のままに感動する(感情を溢れ出す)ことを下手にしてしまうような気がします。
かくいう私も、「笑いがとれれば・・・」という芸人的な根性がすてられない人間。
お互い気をつけましょ。

投稿者:Kenichi Tani (2006年04月19日 03:02)

>myo
性とかそんな大袈裟なもんじゃないよ。完全に「笑いがとれれば」に近い、ブログのネタになるなと思って撮ったわけで…。「今日はTSUTAYAに行った」とか「おいしいランチを食べたよ♪」とかはブログに書きたくないけど、流血はネタになるぜ、と。
俺は感動力(感動する能力)はまだまだあると思うからご心配なく。マジで今日手賀沼で親子連れ見てて泣きそうになったよ。血ぃだらだら流しながら、それに傷口を縫合されながら、次の芝居は戦争モノだから、血を流すってこういうことなんだよなぁと思っていました。

ミオも今度会ったら流血はしなくていいけど笑いはとってね!いつになることやらって感じだけど(笑)。

投稿者:Fountain (2006年04月20日 02:06)

あ、その手賀沼公園のところの図書館にも「あ・じゃ・ぱん」はあるようですので。
よかったらどうぞ。

……とか書こうと思ってたら!
最後に流血ですか。
お大事に…私のほうが危なそう(流血駄目なヒト)。

投稿者:Kenichi Tani (2006年05月01日 02:48)

出たな図書館員!すげーな、そんなんまで調べられるのかー。

あ・じゃぱんは芝居終わるまで読まぬぞ。