PLAYNOTE スタニェフスキ氏講演会

2006年01月14日

スタニェフスキ氏講演会

[演劇メモ] 2006/01/14 01:00
スタニェフスキ氏

ポーランドの演出家・スタニェフスキ氏の講演会に行って来た。「ガルジェニッツェ」演劇実践センターの主宰にして芸術監督。グロトフスキーの下で一時期活動し、メイエルホリドのビオメハニカやアルトーの残酷演劇に影響を受けている、らしい(全然無知なので検索とかで飛んできた人は信じないで下さい)

ポーランドの演劇人は愉快だな。グロトフスキーもあれだけ祭儀的で肉体的な演劇をやっていながらリアリズムの権化として認識されているスタニスラフスキーを自分のスタート地点として深く尊敬していたりするけど、スタニェフスキ氏も20世紀の有名演劇理論家がオンパレードな感じで影響を受けながら、独自の理論を築いている。

こないだうちの教授陣が共同訳で出版した『二十世紀俳優トレーニング』という本の最終章で紹介されている人で、スタニスラフスキーやメイエルホリドやブルックやグロトフスキーと並んで紹介されてんだから、言ってみれば存命の前衛演劇の世界的なトップランナーみたいな人なのだと思う。

セミナーでは実際の俳優トレーニングの様子が紹介されていた。ビオメハニカの影響を強く受けているらしいユニークなトレーニング。ギリシャの壷絵や彫像のポーズを真似、それを次々とシークエンス的に繋げることで「凝縮された現実」「カタストロフィ」を表現する、というもの。あれやりたいなぁ。

つまりギリシャの壷絵や彫像のポーズには、歌舞伎の見栄や能の所作に通じるようなエネルギーの凝縮された瞬間があると言うのだ。スタニェフスキは心理的リアリズムや役の内面よりも、外的な動き・ポーズによる表現に興味があるらしい。この点は自分も非常に強く共感する。トレーニングの映像を見る限りでは凄まじいアピール力のある肉体言語を開発しているように見える。

書き出すときりがないが、面白い比喩があったので書いておく。日本の役者の演技はグラスに入ったワインのようなものだと言う。それはエネルギーを内包したまま静かにグラスの中に留まっている。日本の役者はそれを一滴こぼすことも許されている。これに対しヨーロッパの俳優の演技は、ワインをグラスからグラスへ注ぎ移す、あるいはグラスから川のように流れ出すワイン、と喩えられていた。彼が語るポーズやエネルギーという語の意味を理解する上で非常に有益な比喩でした。

余談。ロビーで演劇評論家の村井健先生とお話した。講演会にはコメンテーターみたいな立場で参加していて、こういう講演会のコメンテーターには珍しく(←笑)実に鋭い指摘・発言をしており驚いたのだが、プライベートの顔は非常に気さくで人懐っこい笑顔が魅力的なナイスミドルであった。話題もガチガチの「いかにもインテリ」なものではなく、遊び心があり、あと「それ言っていいの?」みたいな過激な発言もあってすっかり好きになってしまった。「飲みに来ない?」と言われたが、大事な用事があったので帰ってしまったのがすごく残念。