PLAYNOTE 文学座研修生発表会『女の一生』

2005年10月03日

文学座研修生発表会『女の一生』

[演劇レビュー] 2005/10/03 01:25

盟友・堀口が出ていたので観に行った。前回公演に比べて芝居として楽しめた。役者の成長も感じたが、それ以上にホンがよかったなー。文学座アトリエにて。

『女の一生』と言うと自分は大好きなモーパッサンの同名小説を連想してしまう。森本薫の『女の一生』は、杉村春子だの久保田万太郎だのであれこれ聞き知ってはいたけど観るのも読むのも初めて。森本版もモーパッサンの翻案なのかしら、と思っていたくらい無知だったのだけれど、実にいい本だったなぁ。古臭くはあるし若干表現がストレート過ぎるきらいはあったけど、しっとりした日本語が美しく、感情の爆発よりも感情を押し殺すことを丁寧に描いている感じですごく好きだった。

役者さんも前回公演に比べて一皮剥けた感が。前回「見てられない!」と思っていた人たち(顔覚えてる)も、何と言うか舞台に立つってことの腹づもりというか覚悟というか、「板につく」とまで言うと言い過ぎかもだけどハラハラ感が大変少なく、何だかしみじみしてしまった。何も関係ない俺が感じるはた迷惑な親心。特に女性陣がいい芝居してたなぁ。

演出は今年88歳になるという大御所・戌井市郎。彼の作った芝居に対してこんな新しい言葉を持ち出すのは失礼にあたるかもしれないが、妙に「静かな演劇」って言葉を思い出した。おごそか。おだやか。ひかえめ。演出が下手にベラベラと語らず、台詞と役者に託してる、そんな感じがして、新劇っつーもんをしんみりと思ったりした。演出の仕事って独自の解釈や斬新な見せ方をするだけじゃなくて、芝居作り全体がそうなのだから、演出だけ切り取って点数をつけるのはナンセンスだとも思うし。

堀口の演技は今ひとつパッとせず。いろいろ演出意図が噛んでいるようなのでその辺の裏を今度聞いてみたいが、何かこう、ほーりーの持ち味であるドキュンと突き抜けた感じがなく、どこかためらいや戸惑いを感じるようであった。主観ですが。主観ですが。

結構いい気分で劇場を出た。何なんだろこれ。