PLAYNOTE OUDS『間違いの喜劇』

2005年08月13日

OUDS『間違いの喜劇』

[演劇レビュー] 2005/08/13 21:04

OUDS(オックスフォード大学演劇協会)の来日公演。出演者は全員オックスフォードの学生さん。東京芸術劇場小ホール2にて。公演終了後のポストトークならびにセミナーにも参加してきた。

現代的な衣装とポップな転換曲を使っての溌剌とした演出。当パンの「演出家ノート」には「さびれた海辺のとある町を舞台に…」とあったけど、むしろ学生らの活力を感じる芝居。小道具を使った笑いや場転でのちょっとしたマイム劇は工夫されててよかったな。

さすがオックスフォードの学生だけあって、英語の発音が超クリア。単語単位ならばっちり聴き取れる。当然シェイクスピアなのでセンテンスとしてはちんぷんかんぷんですが、それでも字幕が見辛い席に座ったので随分助かった。

召使いの方の双子(ドローミオ)が本当にそっくりで◎。どちらも身のこなしが軽くて手が早くて口が立ち、いいファルス役者二人。全体的にオーバーアクションだったけど、演じてるのがイギリス人だからか演目がシェイクスピアだからかちっとも気にならず、むしろ今度やる『マクベス』で動き・振りに随分困っているから参考になった。

はっとするような斬新な演出や爆笑シーンはなかったし、スタッフワークス回りでツメの甘い点もあったけど、全体的にソツなくまとまったいい喜劇でした。

公式サイト: オックスフォード大学演劇協会 日本公演 『間違いの喜劇』

ポストトーク

小田島雄志(東京芸術劇場館長)×秋島百合子(英国在住ジャーナリスト)。小田島さんのご尊顔を拝見するのはこれが初めて。主にイギリスの演劇受容の在り方や学生演劇の今について、また、シェイクスピアと歌舞伎の比較なんかがトピックスでした。もうちょっと突っ込んだ話があってもよかったかな。

セルマ・ホルト氏セミナー「英国での俳優教育」

実は芝居よりもこれが目当てでした。参加者30名程度、和やかムードの中での開催。

英国演劇界で第一線のプロデューサーとして長年の経験を持つホルトさんから見た英国の俳優教育の現状と問題点についてのトークです。

とあったので、イギリスのおける俳優教育の全体像みたいなのが話題なのかなーと思ったら、意外にも「これからイギリスで俳優教育を受けようと思っている人たちへ」みたいな志向のトーク内容。

イギリスの俳優教育制度の充実は日本人からすれば羨望の対象だけど、短所や弊害もあるはず。その辺を質問しようと思ってたんだけど、何か全然ムードが違ったので断念。トーク自体も45分と短く、その内半分が通訳だったので賞味20分程度? 通訳さんは何かすごく苦労してた(「Chekhov/チェーホフ」を「チェコフ」と翻訳していた辺り、演劇専門の方じゃないのかも)

大学の演劇過程と専門学校の違いや、C.D.S.(Counsel for Drama School)と呼ばれる相互評価機関の存在、プロ俳優やスタッフの教育現場への参画の意味…みたいな話は参考になったけど、こちらももうちょっと突っ込んだ話が聴きたかったかな。むしろ一番ビビビと来たのは、「(LADAやLAMDAなどには)演技ができないなら死んだ方がマシ! みたいな人以外、来ない方がいい」という心構えの話だったりした。セルマ・ホルトさんは笑顔がチャーミングな恰幅のいい初老の女性だけど、たまに鋭い目をする。見ていて丹田がきゅっと締まる思いがした。

帰りにラーメン屋でニララーメンにドカドカとニンニク入れて食って帰った。明日も頑張ろう。

コメント

投稿者:Shizuka (2005年08月15日 21:29)

はじめまして。”イギリスの演劇”でサーフしていたら、このサイトにたどり着きました。8月13日(土)の『間違いの喜劇』、ポストトーク、セミナー、私も参加してきました。役者たちのエネルギーあふれるパフォーマンスでした。マスター弟が、がっちりと観客の心をとらえたな~と思っていました。
またお邪魔します。

投稿者:Kenichi Tani (2005年08月16日 16:26)

何だかあの狭い会議室にいた方とこんなとこでお会いするなんて変な気分ですね(笑)。アンティフォラス弟は確かにチャーミングないい役者さんでしたねー。というか、みんな溌剌としてていいメンバーだったと思います。

セミナーにいらっしゃった、ということは、イギリスの演劇教育に興味をお持ちなんでしょうか? もしや留学とか? もしそうでしたら是非是非お話聞かせて下さい。ではー。

投稿者:Shizuka (2005年08月16日 19:11)

本当に偶然というか(笑)私は、セミナーの最後、サナエさんに質問した三重県人です。どうぞよろしく。

イギリスに留学した事はありませんが、アメリカに6年住んでました。高校と大学と社会人をやってました。映画(文化論の方です。)を大学でやって、演劇に興味が出てきたのは1、2年前のことです。イギリスでプロダクションに関わりたいと思って、いま勉強中です。

私の方こそ、イギリス演劇について、いろいろと教えてください。よろしく~☆

投稿者:Kenichi Tani (2005年08月17日 19:50)

覚えてますよー。箇条書きみたくして質問連発してた方ですよね(笑)。熱心な人だなーと思いましたが、まさかこういうとこでお会いするとは。

アメリカに六年…。何だかすごい経歴をお持ちですね。うらやましい。僕は一年間イギリスにいただけで、セミナーで出た話題で言えば学科(degree)として演劇をやった側なのであまりShizukaさんのご期待に沿うような知識は持ち合わせていないと思いますが、これも何かの縁と思いますし何かあれば是非聞いて下さいねー。

英国で俳優修行を、ということであれば、もうお読みになったかと思いますが、鴻上尚史さんが『ロンドン・デイズ』という本の中でセミナー中でもオススメ校として名前が出たギルドホール演劇学校に通った経験を記されています。向こうの俳優教育の雰囲気をつかむにはなかなか参考になる本だと思いますから、まだご存じなければ是非本屋さんで手にとってみてください。僕は未読ですがロンドンでのエッセイをまとめた『ドンキホーテのロンドン』という本もあります。

投稿者:Shizuka (2005年08月17日 22:47)

そうそう、それが私です(笑)。職業柄(自営で英会話教室してます。)…なのかどうか、質問するのが好きです。時間があれば、もっと突っ込みたかった…うん。

俳優になりたいのではなくって、シアターを広める分野に行きたいんです。でも、どうしたらよいか分からないので、とにかくシアター関係の人とコンタクトを取ってます。シアターを日本の文化a way of lifeにしたいと思います。ケンイチさんは、directorですか?今度東京を訪れた時、制作拝見させてください。m(_ _)m

投稿者:Kenichi Tani (2005年08月21日 22:12)

へー、シアターを広める分野…ですか。僕も長いこと芝居に関わって生きてますが、どうしたらわからない人間の一人です。芝居の関係者は誰でも多かれ少なかれ考えてることだとは思いますけどね。僕は演出志望ですけどまだぺーぺーですから、あんまりご参考にはならないかと…。それでよければ上京の際は一声お掛け下さいです。