2005年07月19日
文学座研修生発表会『わが町』
正式には「文学座附属演劇研究所本科第45期夜間部 第一回発表会」
。今度のマクベスでマクベス夫人役を演じる(17人参加したオーディションで投票の結果堂々一位)堀口が出ていたので観に言った。サッカリンの頃から好きな役者だったのでわくわく。
…が、結果、大失望。文学座って未だにこんな芝居やってるのか? 新劇コワイと思った。
とにかく演技が見ていられなかった。妙に喜怒哀楽がはっきりしていて、オーバーだけどちっぽけで、しかもどことなく子供っぽい。力いっぱい空回ってた。そんな台詞なかったと思うけど、「(空を見上げて目を輝かせながら)見て、星! なんて綺麗なんでしょう…(肩を使って溜め息)」みたいな、そんな演技。
演出家は盲でつんぼか。登場人物がことごとく無個性でストックキャラクターとしてしか機能しておらず、しかも互いの関係性がぎこちなさ過ぎて見えて来ない。涙を流したり異性の前で緊張したりも、大袈裟なだけで薄っぺらく「お芝居」のお手本のような空々しい演技。思考の流れが全然見えない。ついさっき自分の顔と異性のことで張り裂けんばかりに悩んでいた思春期の少女が、その後好きな少年と出会って何の躊躇もなくニコニコしてるだけなんて! パントマイム一つをとっても大袈裟な割に「見えない」。牛乳配達の人が馬とマイムするんだけど、馬の顔の位置は上下するしいなかった場所に突然馬出てくるし、見てられなかった。台詞はおおむねはっきり聞こえたけど、それもダメだったら最初の休憩で帰ってただろうな。
これが新劇の演技か。勉強になった。
台本が悪い。何でこんな面白くもない会話劇を選んだんだろう? 訳も奇妙なところがあった。小学生の女の子が「演説」と言ってたけど、原語が speech ならスピーチのままでいいんじゃ? すごい違和感。老人が何のためらいもなく「ワシは○×じゃが…」と言っちゃうのも人間を見れてない証拠だと思う。元は小説だったんじゃないだろうか。それならこの奇妙な文体も、戯曲に向かない会話中心で散漫な構成も理解できる。
衣装も…。大学教授だからって白衣着せようみたいなことしてて辟易してしまった。しかも胸には百均とかで売ってそうな安っぽいリボンの花! 16歳って設定の男の子を半ズボンにしてたのも、考証的に正しいかどうかは置いといて滑稽に見えてしまい×。ちょっと頭の発達が遅れてる人に見えた。
堀口の演技は可もなく不可もなく。序盤にちらっと出ただけだったし、特に見せ場もない普通の母親の役だったので。ただ妙にマイムにキレがあって笑った。すごいテキパキしてた。終わった後、「谷くんマイムとかすごい見てたでしょ~」と言っていたが、俺はマイムを見ている俺に舞台上から気がついているあの女が恐ろしかった。周りが足とか手とかガタガタ震わせながらやってる中で何て冷静なんだ。
他の研修生も演技はアレな人が多かったしスター性・カリスマの類とは無縁の人もかなりいたけど、何よりこれは演技つけた人間が悪いよ。今どきこんな芝居やってるとこないし、流行り廃りとは別に、あの芝居にリアリティはない。もう一度書くが、あの芝居にリアリティはない。自然主義的な意味でのリアリティじゃなくて、観客に人物と劇世界を信じさせるリアリティ、それがない。自然主義的なリアリティもなかったが。
何だかひどくがっかりした一夜でした。
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投稿者:しのぶ (2005年07月19日 09:24)
『わが町』かー・・・ちゃんとやらないと退屈だろうな。大人が子供を演じると「ちょっと頭の発達が遅れてる人」に見えることって本当に多いよね。発表会って入場有料ですか?
投稿者:Kenichi Tani (2005年07月19日 10:07)
『わが町』知ってるの?しのぶちん。前に何度か文学座でやってるみたいだけど。あれが面白くなるようにはどうしても思えなかったなぁ。
無料でした。
投稿者:しのぶ (2005年07月19日 12:22)
小鳥クロックワークの最終公演で観ました。
http://www.shinobu-review.jp/mt/archives/2005/0130220949.html
映画も有ります(私は見てないですが)。
無料だったら衣裳がちゃちいのはしょうがないかなと思います。ま、センスの問題か。
投稿者:しんと (2005年07月19日 23:54)
演出家は盲でつんぼか
に大ウケ。盲はともかくつんぼなんて久しぶり接しました。
投稿者:Kenichi Tani (2005年07月20日 00:06)
>しのぶ
有名な作家なのかな? この作品は確かに映画向きだと思う。断片的なシーンが連続して語られててやりづらいし、内容も最後は内省的だし。
>しんと
俺にとっては日常のボキャブラリーだ。ちょっと書き過ぎた気がして反省。
投稿者:しのぶ (2005年07月20日 01:00)
テネシー・ウィリアムズと並んで出てきたりするのでアメリカの有名な劇作家なのではないでしょうか(ごめん全て憶測)。格言も出てきた↓
「アイスクリームは溶けないうちに楽しむ、それが私の哲学だ。」by Thorton Wilder
あらら「ハロー・ドリー!」の原作者だった。見たことないけど。
↓いきなり音が出ます。
http://hollywood.eigajiten.com/hello.htm
他に日本語でタイトルがヒットしたのは「楽しき旅路」「ロングクリスマスディナー」「リメイン」「特急寝台ハヤワサ号」など。
投稿者:Kenichi Tani (2005年07月20日 05:42)
アメリカの有名な劇作家みたいでした。ピューリッツァー賞もとってるや。わが町も元から戯曲だった模様。
http://www.google.com/search?q=Thornton+Wilder
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