PLAYNOTE 長塚圭史作・演出『LAST SHOW』

2005年07月15日

長塚圭史作・演出『LAST SHOW』

[演劇レビュー] 2005/07/15 02:33

なんて悪趣味。惜しげもなく★四つ。

以下何のためらいもなくネタバレ。

不思議でならないのが、こんな悪趣味でよくこれだけお客が入るな、ということ。これくらい臓腑を引っ掻き回してくれる恐怖とグロテスクは映画でも小説でも滅多にない。そのくせ女性の観客が多い。うーん。

長塚圭史のすごいところは、醜くて欠陥だらけの登場人物を使って悪趣味な話を展開し、最後にはそれをきっちり救ってしまうところだと思う。以前講演会で、あんまり性質のよくない、欠点が多くてどうしようもない人間がたまーに見せる暖かい一面、それを書くことに興味がある、というようなことを言っていた。なるほどと思う。

自由過ぎてすごい。最年少でパルコ進出とか期待の大型新人とかあれこれ言われてるけど、そんなプレッシャーをものともしない自由さ。カニバリズムやペット食いといったマニアックな嗜好を中心に据えた、それだけでもたいしたもんだけど、途中で永作博美の股から出てきた大きな赤ん坊(市川しんぺー)、あれ何だよ! おみそれしました。太った半ズボンのデウス・エクス・マキナだ! と一人で興奮したよ、もう。この自由さが魅力。

多分今回の芝居がこれだけ緊張感があったのは、前作『悪魔の唄』のために観まくったというホラー映画のエッセンスを吸収したからじゃないかなーと思う。風間杜夫の醸し出す微妙で絶妙な間が怖すぎた。テンションと緊張を高めて、外す。高めて、外す。そして高めて出し抜けに爆発。そのせいか前半が特によかった。

ストーリーの動かし方や回収の仕方を強引という批判もあるし、それも一理あるなとは思うけど、個人的にはそれが逆に魅力だと思うのでどうでもいい。

ラストの“救い”みたいなのは毎回ヌルいなと思うけど、あれがあるから俺は長塚作品を観ているのかもしれない。ヌルい、何でそこまで人間の地獄的な面を描いときながら、最後にそんなヌルい締め方をするんだ! そう思わないことはないが、そういう眼差しがあるからまた観たいと思うんじゃないかな。

スタッフ面では舞台美術が見事。未完成のプラモデルのようなマンションの一室。舞台美術のお手本のようなセットだったと思う。

この先の展望に期待、という意味で、長塚はこの次にどこを見ているのかなーと思った。