PLAYNOTE ロマン・ポランスキー監督『ローズマリーの赤ちゃん』

2005年07月01日

ロマン・ポランスキー監督『ローズマリーの赤ちゃん』

[映画・美術など] 2005/07/01 03:58

最近一番気になる映画監督、ロマン・ポランスキーの出世作。実は随分前に深夜放送か何かで前半分くらい観た気がするんだが、あえて再度鑑賞。

ポランスキーの演出力はすげぇな。映画というビジュアルのメディアの作家なのに、音の使い方がうますぎる。『マクベス』でも深夜のしじまを表現するために雨だれを落とす、という憎い演出をしていたけれど、本作でも至る所にその卓越したセンスが伺える。

あとは間が絶妙過ぎる。最近ホラー映画を観始めたのは恐怖をどう演出するか勉強したいなーと思ってのことなんだけど、基本的にはテンションの緩急なんだなと気づく。

例えば本作ではローズマリーが電話ボックスで電話をかけているシーン。やっと“まともな”医者とアポイントがとれ、胸をなでおろすローズマリーの背後に一人の怪しい男が忍び寄る。スリルを掻き立てる音楽。男の存在に気づくローズマリー。意を決してドアを開けると…。何でもない普通のおっさん。こういう緊張とハズシがあることで、次に何が起こるかわからない、観客の読みを裏切る恐怖が演出されている。期待・緊張を高めておいて、外す。高めて、外す。高めて、そして出し抜けにドバー! と行く。これだ。ホラー映画すごい。

ただ、基本的にはこの映画は心理劇であると思う。別に恐怖がどうとかホラー映画としてどうとかじゃなくて、母性というものの強さと実体の見えない恐怖への不信感、妄想と現実の境界線のあいまいさ、など、心理劇として秀逸過ぎる。素晴らしい。

子供の顔を決して映さない(一瞬透かしで被せたが)、という趣向もGood。その後に続くローズマリーの説明できない感情の描き方なんかは、映画でしかできねぇなぁと素直に脱帽。すごい。

ちなみに続編でその名も『ローズマリーの息子』というのが2000年に発行されたそうです。『~赤ちゃん』の原作者であるアイラ・レヴィン本人の筆(駄作っぽいです)