PLAYNOTE 騎馬オペラ『ジンガロ』

2005年04月28日

騎馬オペラ『ジンガロ』

[演劇レビュー] 2005/04/28 01:46

あちこちで話題沸騰中の騎馬オペラ『ジンガロ』、ちょっと遅くなったけどついに鑑賞。

開演前にまず驚く。人間の多さと客層の「ふつーさ」。一見して演劇ファンやアートファンとは違う、ふつーの客層。和服やドレスを着ておめかししてるご婦人方、カップル、家族連れっぽいの、友達同士、etc. いいなぁ、いいなぁ、うらやましいなぁ、劇場ってのはこうでなくっちゃなぁ。

マーケティングがうますぎるのだろうと思う。三月十二日から五月の八日まで、ほぼ二ヶ月に渡ってあれだけ広い客席(800人は入るんじゃないだろうか)を埋められる集客力。しかもチケ代は8000円~24000円! ヨーロッパでは有名と聞くが日本ではほぼ無名のカンパニー、そいつを引っ張ってきてこれだからすごい。学びたい。

会場に入ったときから流れているチベット僧の読経を通奏低音に、照明も音響も人も馬もダンスもマイムも ritualistic (儀式・儀礼的)な色味を帯びており、自由連想的にシーンが連なる。ピーター・ブルックやピナ・バウシュが絶賛したというのも何となく頷ける妖しい雰囲気。

ああ、これはオペラじゃないんだ、演劇でもないんだ、と思った時点で気が楽になった。僕たちはラベルがないとどうにも不安で無理矢理ジャンル分けしたくなってしまうけど、ポストモダンなこんな世の中で、どの引出しにも入らないものはたくさんあるのだ。

ジンガロの芸術はうまく自分の琴線と共鳴しなかったようで、演劇的な興奮も絵画的な美への陶酔も、ドラッグのようなトリップ感も味わえなかったけれど、「気づいたら涙が流れていた」なんて人がいたことは理解できる。かちりと心にはまればきっとそうなる。アートとして見た場合、クライマックスであり見せ場である馬の曲乗りの連続シーンが、一貫したコンセプトであったはずの秘教的な世界観や生や死のイメージから離れ、コスモポリタン的とさえ言いたくなるようなカラフルさを見せていたことは解せなかったが、我ながらつまんねーことを気にしてるような気がしないでもない。

人がいて馬がいてガチョウがいて、それをぐるりと囲んだ観客が目を丸くし胸を熱くしている。新しいもんが見れた。そこに感謝したい。

感想などリンクしたもの

コメント

投稿者:おか (2005年05月02日 21:54)

劇場運営論にきていた演劇評論家がジンガロは観たほうがいいっていってたけど…やっぱチケット高いね 汗
観て見たいなあ

投稿者:Kenichi Tani (2005年05月02日 23:21)

俺が立腹してるのはチケ代の高さはもちろん「学割がないこと」。日本は演劇教育が遅れてるってよく言うけど、官民のうち民においては、学割はその第一歩だと思うんだけどねぇ。

投稿者:Kenichi Tani (2005年05月03日 03:13)

客席数は1800だったそうです。最初目算で1000かなーと思って「まさかー!」と思ったら、それより多かったとは…。

投稿者:**** (2005年05月03日 12:15)

おお。前に女の子との会話で出てきたのでレビューは嬉しいよ。