PLAYNOTE ジム・ジャームッシュ監督『コーヒー&シガレッツ』

2005年04月08日

ジム・ジャームッシュ監督『コーヒー&シガレッツ』

[映画・美術など] 2005/04/08 02:39
Coffee and Cigarettes
トム・ウェイツ&イギー・ポップ

コーヒーと煙草と会話。この映画を構成する11の全く独立した短編が共通して持つのはこの三つだけ。全編モノクロで、イギー・ポップからマーラーまで、節操なく、だがセンスのいいチョイスで音楽を流し、ひたすら会話にフォーカスしている。誰にもオススメしないが、すごく印象深い一作になった。

(以下、感想ではなく俺のメモ)

監督のジム・ジャームッシュのコメント。確かキネマ旬報のインタビューより。

「僕は、人間の本質や人生についてのディテールが劇的じゃない状況で垣間見られるのが好きなんだ」

実はこれと全く同じことを考えていたので、ジャームッシュのトライには非常に興味があった。結論としては、「あんまり面白くない」。この映画も、一瞬一瞬に人間存在の素晴らしく繊細な機微を捉えた瞬間があったと思うけど、でっかい感動、カタルシスがない。それは否定しようのない事実。

(ただ、日常生活や一般人を題材にした現代の悲劇って形式が、そろそろ登場してもいい頃だと俺は思うんだ。いつまでもハムレットだのかもめだのやってるから日本の芝居はダメなんだ。)

クセのある役者が多くて観てて飽きなかったが、『COUSINS』でのケイト・ブランシェットの二役には脳内スタンディング・オベーションであった。

Coffee and Cigarettes Coffee and Cigarettes
ケイト・ブランシェット 驚きの一人二役

一人の女優にこんなに感激させられたのは、毬谷友子以来かも。喋り方はもちろん、目配りや手の動きといった微細なクセまで完璧に演じ分けた上、自分の演じた片割れと会話してドラマを成立させてしまうんだから。ぶっちゃけ、このケイト・ブランシェットを見るためだけでもこの映画は見る価値があるかもしれない。

コメント

投稿者:しのぶ (2005年04月08日 15:17)

「日常生活や一般人を題材にした現代の悲劇って形式」は、東京の小劇場にはいっぱいあるよー。観に行ってねー。

投稿者:Kenichi Tani (2005年04月09日 23:34)

多分しのぶさんの言ってる意味での「悲劇」と俺が考えてる意味での「悲劇」は全く違う言葉だと思います。後者の悲劇はアリストテレス・ニーチェ・ヘーゲル辺りが嫌ってほど説明してますし超面白いですから是非読んでみることをおすすめします。

投稿者:しのぶ (2005年04月12日 01:20)

ほーほー。ご助言ありがとう。ニーチェは「悲劇の誕生」を読み始めて挫折しました(学生時代)。それに載ってる?

投稿者:Kenichi Tani (2005年04月12日 07:42)

うん。ニーチェは『悲劇の誕生』を直に読むのが一番と思います。アリストテレスは『詩学』読まなくても解説本とか演劇辞典とか調べれば大まかな意味は追えると思います。原著はとにかく読みづらいので。

そのつもりはないかもしれないけど、今後劇評・評論の仕事の方に向かうつもりであれば演劇学の知識は不可欠と思います。それに、理論から見えてくる地平も必ずありますから。

投稿者:しのぶ (2005年04月12日 16:41)

ご親切にどうも。劇評・評論を仕事にするつもりがあるなら読んでないってことを公表しないよ(笑)。

投稿者:ツボヤキ (2005年05月01日 14:59)

映画の感想文のブログなのですが、TBさせて貰いました。
よろしくお願い致します。
この映画も好きでしたが、サム・シェパードでやってきて
しまいました(苦笑)
良いあたたかな感想を拝読させていただきましてサンキュ!です

投稿者:Kenichi Tani (2005年05月02日 19:15)

コメントありがとうございます。サム・シェパードからですか!いろんなキーワードで飛んでくる人がいるんだなー。

投稿者:スパムじゃないですよ (2006年01月10日 22:33)

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