PLAYNOTE ジャック・ニコルソン主演『カッコーの巣の上で』

2005年04月04日

ジャック・ニコルソン主演『カッコーの巣の上で』

[映画・美術など] 2005/04/04 07:00

75年にアカデミー作品賞ほか主要五部門を独占した名作。何だか独特の空気が流れている作品。70年代のものなのでテンポは遅く比較的淡々と進む映画だけど、エピソードの一つ一つが静かに心に染み込んでくる。画面に悲しみの色が滲んでいる。いい映画。

ジャック・ニコルソンの演技がもう最高。いたずらっぽい笑顔と刺すような目線。映画俳優ってのはこうでなくっちゃなぁ。

脱走を企てた夜、自由へと続く窓の傍、久しぶりのアルコールに喉を潤しながらニッと笑うニコルソンのアップのシーン! 最高。ただ俳優の顔がアップになっているだけ、その絵が20秒近く続くんだけど、飽きるどころか目を奪われたまま一言も言えなかった。そのシーンの印象が強いだけに、その後ロボトミー手術で廃人にされたときの彼の目、一筋も光が通っていない彼の目が印象深い。

他の俳優もよかったなー。精神病患者役の俳優らは、人間性を取り戻していく過程で素晴らしくキラキラした笑顔を見せていて何度も心を奪われたし、その一方、病院スタッフらが演技欲を出さず抑えた演技で引き立て役に回り、徹底して「人間の顔をしていない」システムやルールの象徴として機能していた点もGood。見事なアンサンブルだったな。

こうして俳優のことばっか書くってのも俺の映画の感想としては珍しい気がするけど、それはつまりこの映画が奇をてらわず、役者の演技だけで丁寧にドラマを語っていたからなんだろうな。

最後、大男がニコルソンの代わりに脱走を成功させるシーン。あそこで俺なら、ベッドからその光景を見ていた患者の男に "McMurphy is out! He's escaped!" と叫ばせたいな。きっといい台詞になる。