PLAYNOTE 原文で読むシェイクスピア『Antony and Cleopatra』

2005年02月28日

原文で読むシェイクスピア『Antony and Cleopatra』

[読書] 2005/02/28 22:34
洋書: Antony and Cleopatra (Arden Shakespeare)
日本だと5265円もすんのか

『アントニーとクレオパトラ』は読んだこともなかったし邦訳も手元になかったので、初めて日本語一切抜きで読んだ。こっち来てもう四・五冊は原書でシェイクスピア読んだけど、日本語訳抜きはさすがにしんどかった。

正直言って話の筋を追うのが精一杯で深い読み込みはできてないから、内容に関するコメントは差し控えておく。ただ、クレオパトラの描写には魂を引かれた。高慢・独尊でありながら、女の弱さ、というより人間としての弱さをあちらこちらでほろほろとこぼす辺りが素敵。感情の火柱が太い。

アントニーは悲劇の主人公としての巨大さには欠ける気がするけど(四幕で死んじゃうし)、オクタヴィアヌスとの対比で特に強調される人間味の豊かさ、フランクさ、直情的な性格は実に魅力的。演じるのは難しそうだけど愛嬌のあるいい役者がやったらいい芝居になるだろうな。

あと個人的には Enobarbus (これ何て読むの?)の葛藤に入れ込んで読んだ。

原文で読むシェイクスピア

はっきり言って無茶苦茶しんどい。とはいえシェイクスピアはいろんな出版社がいろんなスタイルで出版してるから、まずはテキスト選びで読むしんどさが随分変わってくる。

オススメはアーデン版とオックスフォード版。今回はアーデン版を使ったけど、どちらもページ下部に詳細な注がついてるので大変読みやすい。イントロダクションも充実。ペンギン版の注は巻末にあるので、いちいちページを繰らないといけないのがうざったい。

他にも俺がこちらで手に取ったものでは、廉価版のワーズワースコレクション、左ページに原文・右ページに現代英語訳がついてる『Shakespeare Made Easy』なんてのがあったけど、ワーズワースは脚注で読みづらいし Made Easy は実質二倍の英文を読まなきゃいけない(笑)上、注もイントロもないので、結局アーデンやオックスフォードの注を頼る場面がしばしばあるのであんまりオススメできない。

シェイクスピアは当然著作権が切れてるので、ネットでも読めます。注も何もないので読めるはずないけど、一応。

さて、原文シェイクスピアをちょっと読んでみたい、という人のために、クレオパトラの腕の中で今まさに息を引き取ろうとしているアントニーの最後の台詞を引用。上にリンクした Gutenberg Project の "Antony and Cleopatra"から。

ANTONY. The miserable change now at my end
 Lament nor sorrow at; but please your thoughts
 In feeding them with those my former fortunes
 Wherein I liv'd the greatest prince o' th' world,
 The noblest; and do now not basely die,
 Not cowardly put off my helmet to
 My countryman- a Roman by a Roman
 Valiantly vanquish'd. Now my spirit is going
 I can no more.

割と情けない男だったアントニーも、最後の最後で将軍としての死を切願した、ってのは涙をそそるね。アーデンの注はここをオセローの死に際の台詞と対比してました。

ここはそんなに難解なところではないと思うけど注も何もなしで読めるはずがないので、読んでみたいと思った人は原書取り寄せて読んでみて下さい。大学生くらいの英語力じゃ完全に死ねます。俺は今日十時間くらいかけて読み切りました。ずっと部屋に引き篭もって。…華々しく見える留学、実態はこんなもんだ。

おねがい: 一応どうにかこうにか読んでるけど完全な我流なので、 Middle English や Blank Verse の読み方を初心者にもわかりやすく解説してくれてる本をどなたか知ってたら是非教えて下さい。

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