PLAYNOTE ジョン・レノン『LOVE(ACOUSTIC)』

2005年01月07日

ジョン・レノン『LOVE(ACOUSTIC)』

[音楽・ビートルズ] 2005/01/07 13:59

実家の母から届いたクリスマスプレゼント。アコギ一本で歌うジョン・レノンの製作途中の歌が16曲つまった企画盤。あくまで製作途中であっていずれも完成度は低く「初心者は絶対手を出すな」と皆が口を揃えるであろうアルバム。

とはいえ海賊版は買いたくないけど未発表音源は聴きたいという自分みたいなファンにとっては資料的価値はあるし、歌とギターだけというシンプルなアレンジの中にボーカリストとして、そしてギタリストとしてのジョン・レノンの魅力を再発見できた一枚。誰にもオススメしないが個人的には今一番聴き込んでるアルバム。

未発表音源とは言え初登場音源はたった六曲。ヨーコの商売上手は相変わらずだなぁ。CCCDってのもクソ食らえだ。

まずビビッと来たのが4曲目、『Look at Me』。「Look at me. Who am I supposed to be?」シンプルな歌詞/演奏ながらメランコリックな歌声が哀愁を誘う。ギターの音も綺麗。

5曲目『GOD』は本テイクでカットされた歌詞が聴けたのは面白いが、『ジョン・レノン・アンソロジー』収録のバージョンの良さの前にはかすむかな。音質こもり過ぎ。本テイクで「I just believe in Yoko and me」となっているところが me だけになってるところはへーと思った。

12曲目、『Watching the Wheels』がべらぼうに良い。完成テイクのアレンジはどうももったりしていて好きじゃないんだが、こっちはギター一本とはいえエッジが聴いててジョンの声もセクシーだし遥かに良い。今まで好きな曲じゃなかったんだが好きになった。

13曲目、『Dear Yoko』、ヨーコにべた惚れのジョンの一面が垣間見える。

Even if it's just an hour
I wilt just like a fading flower
Ain't nothing in the world like our love, dear Yoko

Even when I watch TV
There's a hole where you're supposed to be
There's nobody lying next to me, dear Yoko

ギター一本で十分豊かなバッキングを奏でていることに驚く。ジョンはロック少年だったんだぜ。

14曲目、『Real Love』。1996にビートルズの新曲としてポール・ジョージ・リンゴが楽器を重ねて発表された曲。「No need to be alone」なんてサビで歌ってる割にはやたら物悲しいメロディだし歌詞もどこかちぐはぐな印象を受けてたんだが、このテイクの歌詞を読んで納得。

All the little boys and girls
Living in this crazy world
All they really needed from you
Is maybe some love

Why must we be alone?
Why must we be alone?
Yes, it's real
Well it's real life

完成テイクでは「No need to be alone, it's real love」。ちょっと繋がってない。
このテイクでは「Why must we be alone? It's real. It's real life」。カチッとパズルが合った気分。「どーして僕たちはこんな孤独に陥らなければならないんだ?-それが現実、それが現実の人生だ。」

理想の愛の形を歌った完成テイクに至るまでに、こういう諦念のこもった未発表テイクがあったわけだ。ジョン・レノンは普通理想主義の夢想家だと思われてるし、実際そうなんだけど、夢見がちな楽天家ではなかった、ってことはここからもよくわかる。こういうどん底の気分で作り始めた歌を、『Real Love』なんていう聴く方が恥ずかしいようなドストレートな愛の歌に仕立ててしまう辺りに、ポップ・アーティストとしてのジョンのセンスがある。

15曲目、ライブ録音『Imagine』。既出テイクだがまぁ良し。Imagine 一色のレノン評価にはうんざりするが、確かにあの時代(ベトナム戦争の最中)にこういう歌を歌ったってのはすげーことだ。湾岸戦争や911で放送禁止になっただけのことはある。

ジョンマニアにしか楽しめないものの、海賊版に手を出してない人、四枚組アンソロジーをまだ聴いてない人には割とオススメできるアルバムだと思う。