PLAYNOTE ロンドン地元民の劇場、The Questors Theatre

2004年10月24日

ロンドン地元民の劇場、The Questors Theatre

[演劇メモ] 2004/10/24 21:16

ゆうべ『Blasted』を観た The Questors Theatre がちょっと面白かった。ロンドンの割とはずれにあって、中心地から地下鉄で30分くらい。駅を降りるとスーパーとか地元のパブとかあって、雰囲気は東京で行ったら高円寺とかそんな感じかな。ロンドン嫌いだけど、ここなら住んでもいい。

劇場に入ってまず驚いたのがその賑わい。Grapevine Bar という劇場内の小さなパブは開演二時間前だというのに満員だし、あちこちにご老人やら子供を連れたお母さんやらがいてすげーアットホームな雰囲気。毎週水曜日にはバンドの生演奏つきのドリンクパーティーがあるらしい。「今週で1000何回目!」とか書いてあった。地元の劇場、地元の社交場として機能してるのかな?

ロビーに写真が。見るとイギリスいち有名なシェイクスピア俳優、ジュディ・デンチ! 脇の文章を読んでみると、この劇場の総裁(President)らしい。象徴的なものだろうけど、これは劇場にとって素晴らしい誇りになるよな。

演目の幅に驚いた。今月は俺が観た『Blasted』の他にE・ボンド(イギリスの有名な劇作家)の『Early Morning』、T・ウィリアムズ『欲望という名の電車』にチェーホフの『桜の園』と、地元の劇場にしては随分とマジメなお芝居をやる。

ここからは笑い話。
さて『Blasted』を観よう! と劇場に入ると、ロビーと同様おじいちゃんおばあちゃん、子供をつれた奥さん連中。

俺焦る。これ、舞台上でフェラチオとかレイプとかやる芝居なんですけど!? おじいちゃん、長年連れ添ったからってそんな可愛らしいおばあちゃん連れてくるとこじゃないよ!? お母さんもちょっとさすがにこれは教育上よくないって!!

入り口のドアにあった注意書き。
「注意! 劇中、フラッシュやスモークをたくシーンがあります。」
いや、注意するとこ間違えてるから!!

舞台セットもすごい。円形劇場で、中央には海賊ドクロのマーク、その他あちこちに「ここにモンスターが来るぞ、注意!」みたいな落書きが描かれてる。何だそれ。遠景は海、下手奥には六人くらいのオーケストラが。『Blasted』ってホテルの中の話なんですけど。す、すごいアレンジだ!

間違えてたのは俺の方でした。俺が入ったのは PLAYHOUSE と呼ばれる大ホールの方。こっちで上演されるのは『何とかの海賊たち』という芝居。完全に間違えた(笑)。『Blasted』は小さなスタジオ劇場の方でやるそうな。

しかし、こんなロンドンのハズレにある地元劇場が複数の劇場を備えてるとは普通思わない。いったい全体どういう充実ぶりだ。

間違えたついでに PLAYHOUSE のロビーを見て回ると、過去に上演された舞台写真や地元の子供でやってる児童劇団の写真が。児童劇とは思えないほど手の込んだ舞台セットにまた驚愕。パブの賑わいといい児童劇団の存在といい、本当に地元に溶け込んでる。

上演する芝居は地元のアマチュア劇団のものと、招待したプロ劇団のものと半々くらいみたい。地元劇団は毎月オーディションを行っていて、ロビーにエントリーシートがあったりした。

地元民の劇場。
日本では絶対に成立しないであろう文化。
もし柏にこんな場所があったら…と思うと、うらやましくてならない。

地元民で一緒に芝居を観る、ってのは何か気持ち悪い感覚すらあるけど、パブの存在がその不自然さを消している。そういう地元コミュニティってあったらいいな。

こんなところでも、イギリスの劇場を取り巻く独自の文化に触れました。これはもう、うらやましすぎる。