PLAYNOTE The Questors Studio『Blasted』

2004年10月23日

The Questors Studio『Blasted』

[演劇レビュー] 2004/10/23 19:45

レイプ・男色・カニバリズムに人の目玉の踊り食い、と、過激描写に際限がない上、後半で突然リアリズムが崩壊して表現主義・象徴主義的なシーンになったりし、どう舞台化したのか興味津々だったサラ・ケインの伝説の作品『Blasted』。何かロンドンの外れの劇場が上演するというので観て来た。

初っ端でべろーんとお尻を出してくれたので「これは期待できる」と予感したものの、描写は徐々に守りに入り、「チンコ隠すなよ」「あ、また隠した」と不服が募る。いや別にチンコなんかちっとも見たくないんだが、性表現を避けてたらこの戯曲は成立しない。下手にとりつくったせいで焦点がぼやけてしまった。

中盤以降、徐々にリアルが崩壊していって悪夢のような空間が広がる…はずなんだけど、ここでも描写のぬるさが水を差す。イアンを演じた役者は本当の肉体的な痛みが体にどういう反応をもたらすか、まるで理解していない。目食われたら目を押さえて、チンコ噛まれたらチンコ抑えて。人間ってのはそういうものじゃないでしょう。20点。

男レイプのシーンや赤ん坊の死体を食らうシーンも、客席からの死角でごまかすよくある手法でちっとも IN-YER-FACE でない。激烈な表現でプロセニアムアーチの防壁をぶち壊し、客席の安全神話を粉砕する…はずの場所で、逆に「ああ、お芝居なんだ」と安心させてしまっている。

俺が一番好きなシーン、イアンが一人で孤独に打ち震え、死のうともがき、生きようともがくシーン。何だか現実の延長のようで今一つ。時間の経過もわからなかった。ラストも妙にセンチメンタルな雰囲気になってしまっていて、どうもサラ・ケインを観たという気がしない。筋書きだけが同じな、何か別の芝居という感じ。

演技が戯曲の要求水準に追いついていない反面、舞台美術は非常によかった。壁にかけられたポップアートが印象的な明るい部屋の雰囲気が、徐々に"荒廃"(blasted)していく過程を追うのは楽しい。

主演の女の子も割と可愛かったな。こんな可愛い子があんなきわどいシーンを!? と胸が高鳴ったが、そこはそれ、前述の通りうまくかわし、下はもちろんおっぱいポロリもない始末。いや、断じてそういうのを期待して観に行ったわけじゃないんだけど、登場一発ちょっと可愛かったので、つい、夢を見たんだ…。

この Questors Thatre って劇場が相当おもしろいところで色々勉強になったから、心の底から行ってよかった!と思うけど、「初演から十年を前にあえてサラ・ケインに挑む…」という触れ込みの勇ましさには到底及ばない、守りに入った手堅い劇化、つまらない演出でした。まぁ学割きいて4ポンドだったからいいか。

憤怒: パンフ買ったのにカンパニーの詳細とか役者・スタッフの経歴とか書いてない。作品解説はいいからあなた達の解説を載せて下さい、知らないので。

コメント

投稿者:**** (2004年10月24日 16:20)

>こんな可愛い子があんなきわどいシーンを!? と胸が高鳴ったが、

共感。

投稿者:Kenichi Tani (2004年10月24日 19:11)

せめて、せめておっぱいポロリくらいは…。イギリスの女日照りは耐え難い熾烈を極めています。