PLAYNOTE ジョン・オズボーン『Look Back in Anger』

2004年10月19日

ジョン・オズボーン『Look Back in Anger』

[読書] 2004/10/19 18:56

イギリス現代演劇のターニングポイントとなった作品。「オズボーン以前・以後」などという括りをよく聞くが、イギリス演劇の状況を一変させた文字通り伝説の作品。

ごたくを並べる前に感想。正直に言って、俺はつまらないと思った。とにかく喋りまくる&怒りまくるジミーの洪水のような台詞の量、それを楽しめない非ネイティブの俺はもちろん、ゼミで一緒の同年代の学生たちも今一つ共感できないようだった。

ある評論家は「オズボーンの怒りは言葉だ、バーナード・ショウと根幹は同じ。じゃあ誰が今ショウの言葉に耳を傾けるかって? 誰も聞かないよ」みたいなことを書いてたが、激しく同感。怒りと抑鬱が「言葉になって」流れ出す、そこにもう古臭さを感じる。In-yer-faceみたいな肉体重視、実存重視の演劇潮流の中で、確かに現代的価値を見出すのは難しいんじゃあないかしら。

「肉体の不在」とか言うと格好いいけど、要するに怒りが観念的過ぎて共感できないということ。加えてイギリスの階級社会の外で育った俺には、ジミーのアリスンに対する屈折した心情を理解するのは難しい。

ある評論ではジミーの長弁舌に「シュールレアリスム的な言葉遊びがある」と指摘してたが、ごめん、もうそこまで来ると俺の英語力じゃちんぷんかんぷんです。帰ったら日本語訳読もう。

1956年以前、つまり『Look Back in Anger』以前のロンドンの主な演劇流行。

  1. ウェルメイドプレイ。中産階級家庭の客間を舞台にした喜劇や、大英帝国過去の栄光にすがるノスタルジック・メランコリックな喜劇など。
  2. 再演モノ。シェイクスピアとか。
  3. 輸入モノのアバンギャルド。ベルリナー・アンサンブルが1956年にロンドン来てる。ベケット、ジャン・ジュネ、イヨネスコ、サルトルなども
  4. ミュージカル。何といってもこれ。

国内の新作はほとんど 1. だった状況下で、確かにこれだけ荒くれたモノを書いたら確かに衝撃は走るだろうな。でもアメリカでは既に『欲望という名の電車』があったわけだし、そもそもオズボーンはベケットより後なのか。そう考えると決して新しくない。むしろイギリス劇壇の保守性、中産階級ばっかの固定的な観客層、一言で言えば後進性が背景にあって、オズボーンは来たるべくして来たという感じ。オズボーンがやらなくても誰かがやっただろう。そういう意味ではオズボーン、ラッキーだね。