PLAYNOTE ジョン・マグラー『Good Night Out』

2004年10月16日

ジョン・マグラー『Good Night Out』

[読書] 2004/10/16 15:43

ケンブリッジ大学での講演を基に編まれた本。John McGrathの演劇論・演劇観。「労働者階級のための演劇とは?」

もう泣きそうになりながら読んだ。何でか知らんが無茶苦茶読みづらい。予備知識も何もなかったので余計しんどかった。

John McGrathは日本ではほとんど無名の作家・演出家。「ジョン・オズボーン以後、舞台上に労働者階級の生活が描かれることが増えたものの、観客は未だに不変。ぼつぼつ見られるようになったジーパンの大学生も将来の中産階級。労働者階級のための演劇を!」として 7:84 Theatre Company を創設。様々なエンターテイメント要素をミックスした斬新な手法で注目を浴びた。演劇屋としてのキャリア以前にはテレビ・映画の脚本家としても活躍していた模様。その頃の代表作に『Z Cars』がある。

おもしろいなと思ったところ。

  • 様々なエンターテイメント要素の結合。労働者階級の演劇を、ということでパブやバーで芝居やったり。「演劇の"言語"は普遍的なものではない」として労働者階級に通じる言語、すなわちポップソングやダンスなどを積極的に導入。他にも労働者階級により訴えかけるためのアプローチに関する章は、演劇と一般的なエンターテイメントの溝を考える上で刺激的と思う。
  • 机上の空論ではなく実体験に基づいた主張だから説得力がある。面白い。
  • 地元性。地域密着型。その都市の有名人やジョークを織り交ぜ、メトロポリタン的な演劇ではなく町の、地域の劇場を作ろうとした点。7:84は後に7:84イングランドと7:84スコットランドに分裂するが、これも地域への関心の表れ。一概に比較はできないが、日本の東京一極集中型演劇を考える上でも「へぇ」と思う点は多いと思う。
  • ブレヒトを「立場はブルジョワじゃん」と批判していたとこ。共産主義者も一枚岩ではないってこと。
  • これだけエンターテイメントを強調していながら、演劇が最も政治的な描写・討論にふさわしい芸術として政治フォーラムとしての演劇を唱えている点。ブレヒトも「まず面白くなくちゃ駄目」と繰り返し述べているが、ここの共通点は面白いなと思った。

興味がある人は自分で調べて下さい。↑は俺の貧相な英語力で理解できた範疇のメモであって、彼の主張とは離れる部分が多々あると思います。なら書くなって? ごめんなさい。

どうでもいいけど、日本では「ジョン・マッグラス」と呼ばれることが多いようだけど、「ジョン・マグラー」がより近い発音みたい。ゼミでイギリス人ですら読み方がよくわからず質問してた。最後のthは発音しないらしい。こういうのは慣習がすなわち法律だから、マッグラスって呼ぶべきなんだろうけど、あまりに違うので。