PLAYNOTE チェコ国立マリオネット劇場『ドン・ジョバンニ』

2004年09月02日

チェコ国立マリオネット劇場『ドン・ジョバンニ』

[演劇レビュー] 2004/09/02 08:30
舞台写真

チェコが誇る伝統芸能、人形劇。プラハの旧市街広場からほど近い場所にある国立マリオネット劇場で、モーツァルト作曲の『ドン・ジョバンニ』を人形劇化したものを観て来た。

『ドン・ジョバンニ』は、いわゆるドンファンのイタリア語読み。モーツァルトの作曲で「オペラの中のオペラ」として有名らしい。初演がプラハで行われたため、今でもプラハ市民にこよなく愛されているようだ。

俺は二年前に幸いにも小澤征爾の指揮で一度本物のオペラを鑑賞したことがある。ラスト、石像がドン・ジョバンニを地獄へ引きずり込んでいくシーンの圧倒的なスケール感を前に戦慄し、「これはストレートプレイには無理だ、オペラすげえ」と生まれて初めてオペラに心底感激したのを覚えている。

チェコの伝統技芸、どれだけのものか、と期待に期待を重ねて観たのだが、操作は意外と下手っぴ。「まるで生きているかのような…」みたいなガイドブックの説明は嘘です。軽快でユーモラスではあるけど、芸としては今ひとつ洗練されてない印象を受けた。

音楽(もちろんテープ演奏)がはじまると、モーツァルト人形が登場して指揮を始める。このモーツァルト人形、幕間になると必ず出てきて、こけたり物にぶつかったり酒に酔ったり、非常にプリミティブな笑いを提供してくれる。「うわーありきたり」と思う。

本編の方もただ人形同士が掛け合い漫才みたいにちょこちょこ動くだけで、やや退屈。後半になって面白い趣向がいくつか見られた。

一つ。石像登場のシーン、背景幕を引き裂いて、舞台裏から人間サイズの着ぐるみが登場。中には当然人間が入っている。人形との圧倒的なサイズの違いが大迫力。ここで人間を出すとは思わなかった。

石像にドン・ジョバンニ人形をとられて、返せーとばかりに天井から手を伸ばす人形操手がまた面白い。まるで人形が引きずり込まれる肉体を表し、操手があがくドン・ジョバンニの魂を表しているかのよう。いい趣向じゃない。

二つ。ドン・ジョバンニが地獄に落ちた後、エピローグみたいな場面で今度は掃除夫みたいなユニフォームの人形操手が登場し、踊り続ける人形たちを一人一人「コラお前ら、もう終わったんだから静かにしろ!」とばかりに押さえつけ、片付け始める。こういう人形劇ならではな演出はすごく面白いと思う。

いくらでも洗練する箇所はあると思うけど、なんだかのどかで平和でまったりできたのでよし。でも願わくばプロセニアムアーチではなく町の広場とかで観たい感じの舞台だったな。

コメント

投稿者:ちい (2005年10月17日 11:13)

旅行会社の者ですが、この記事、面白すぎます。
参考になりました。ありがとうございました。