PLAYNOTE 一行だけ読んで書く読書感想文 『銀河鉄道の夜』

2004年08月08日

一行だけ読んで書く読書感想文 『銀河鉄道の夜』

[読書] 2004/08/08 00:18

本読みHPというサイトに、『読書感想文は1行読めば書ける!』というコーナーがある。コーナータイトルだけでもうすでに面白いが、文章はもっと面白い。昨日久々に新作としてベストセラーになった『世界の中心で、愛をさけぶ』を一行だけ読んで書いた感想文がアップされた。いや本当に面白いので、とりあえずうちのサイトのウィンドウは閉じてあちらさんを熟読して下さい。

で、「俺もできそうだな」と思ったで、『銀河鉄道の夜』を一行だけ読んで感想文を書いてみた。

宮沢賢治は本当に教科書くらいでしか読んだことない。あらすじさえ知らなかったので、以下の二つのサイトを参考にした。

ちなみに書き出しの一行はこのとおり。

「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」

何となく人を見下したような高慢ちきな調子が鼻につく。そこから広げてみよう、という方針でスタート。よし。

終わらない物語、銀河鉄道の夜

珠玉のファンタジーとして読み継がれる宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』は、意外にも空想を唾棄するかのごとき軽蔑的なトーンの一文から始まる。

「ではみなさんは、そういうふうに川だと云われたり、乳の流れたあとだと云われたりしていたこのぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。」

この台詞はいったい誰のものだろうか*1。登場人物の誰か、と考えるのは早計だろう。宮沢賢治が「会話文ではじめる」という文章表現技法の初歩の初歩*2をやってのけているのだ。僕はここに作者の意図を読み取らずにはいられない。

宮沢賢治は学校の教諭を務めながら作品を書いた。社会的に見れば、賢治にとっての作家業は副業、教職こそ本業、ということになる。自由な空想力に遊ぶ空想作家としての賢治と、読み書きそろばんに加えて一般常識を教える賢治。この二人の間には乖離がある。

冒頭の台詞も、おそらく賢治が理科の時間に幾度となく繰り返したものだったのではないか。「ご承知ですか」などという鼻持ちならない高慢ちきな表現に、僕は賢治が自分自身に向けた嘲笑を読む。

賢治は内心、こう思っていたのではないか。

「科学なんて、どだいくだらない。そしてこの僕はいったい何だ。自分で証明したわけでもない、西洋人受け売りの理論を得意げに説明して、食い扶持を稼いでいるだけではないか。先生、先生と子供や村人からはかつがれているが、作家では食っていけない。夢に敗れた小さな大人だ。だけれども僕は、明日も教壇で繰り返す。『このぼんやりと白いものがほんとうは何かご承知ですか。』」

だがそんな賢治の憤りは、原稿用紙の上にファンタジーとして昇華された。賢治は夜空を走り銀河を旅する鉄道を描いた*3。ここに鉄道を選んだことに、賢治が胸中に抱いていた西洋科学万能主義への懐疑がうかがえる。賢治はファンタジーとしての銀河旅行の足として、あえて文明開花のシンボルである蒸気機関車を選んだのだ。機械文明の権化である汽車を、一切の論理的説明をすっ飛ばして空に浮かべる。そうして暗に西欧文明へあかんべえをしながらも、彼がつづったのはやはりやさしく幻想的な世界だった。

賢治は理科の教科書を閉じて、本当に子供たちに語りたかった思いを文字に載せ、机の中に閉まった。こうして賢治は自己の致命的な乖離に逃げ道を与えたのだ。そして冒頭の一行は、大人がファンタジーを書くことのエクスキューズであると同時に、戯画化された賢治自身だったのだ。

『銀河鉄道の夜』は今でこそ宮沢賢治の代表作として名高いが、実は生前は発表されなかった未完成の童話である。賢治は二十八歳に初稿を書き上げてから三十七歳にその短い生涯を閉じるまで、幾度も幾度も原稿に手直しを加えた。まるで物語を閉じることを自ら拒むように。

賢治は何故このやさしい夜の物語を完成させることなくに引出しにしまい、世を去ったのか。完成させるチャンスはあったはずだ。しかし賢治は、こと『銀河鉄道の夜』に関しては、筆を置くことはあえてしなかった。物語を読み終えた今*4、僕にはその理由が何となくわかった気がした。

*1 一行目しか読んでないのでわからない。
*2 一学期の国語の授業で習ったことをさり気なくいれてポイントを稼ぐ。
*3 鉄道が空を飛ぶ話だ、ということくらいは一般常識として知っている。
*4 読み終えたことを最後にさらっと明言し、読者の脳裏に刷り込む。

総評:

  • 真面目くさくなりすぎた。
  • でもありそうじゃない?
  • 文体がもはや中高生ではなくなってしまった。
  • 感想文というよりやくざな評論のようになってしまった。

本読みHPさんみたく面白くするのは至難の業だけど、一行読んで書くのはそう難しいことではないみたい。でも、中高生っぽい文体でもっともらしいことを書く、となるとハードルは高い。書いてて楽しいのでまた今度別のでやってみよう。

コメント

投稿者:まお (2010年03月29日 14:15)

「銀河鉄道の夜」「感想」で検索したら上位に出てきたので拝見しました。なんとも感想文を作る上での面白い発想ですねww
なんというか、全く新しい視点に立って展開が進むので(読んでないから当たり前なのですが)、うまい具合に内容と乖離しすぎずにいい線いっている感想文なら、入賞も狙えてしまうのではないかと思いました。実際、興味深く読みましたよww
本を読む上での新しい視点を提示されたような気分でした。多謝。

投稿者:チョコレイト (2010年11月11日 15:18)

はいはい。

投稿者: (2011年02月10日 20:53)

結局読まなゐんでせう。

投稿者:あう (2011年03月06日 18:04)

で?

投稿者:わん (2011年03月06日 18:05)

つまんない

投稿者:Kenichi Tani (2011年03月07日 04:28)

何だろ、どっかからリンクでも貼られたのかな。自分でさえ書いたこと忘れてたわ、こんな記事。