PLAYNOTE グラムのこと

2004年07月01日

グラムのこと

[イギリス留学] 2004/07/01 17:47

グラムのことについて書く。キーワードは「中国人、スパンキング、ゴマ油、刃渡り12センチ」。彼が体験した、背筋も凍る中国人との揉め事の話。18禁。

グラムは32歳で日本が大好きなイギリス人。32歳だがまだ大学一年生。こっちでは高校卒業して一度就職し、その後大学で専門を学び直す、みたいなサイクルが割と一般的なので、彼みたいな人は結構いる。

いきなり余談だが、以前83歳でフランス文学を専攻しているおばあちゃんの話を聞いた。以前は小学校の先生をしていたそうで、大学で30年振りに教え子と再会したという。しかも、今度は逆の立場で。…つまり、以前の教え子が教授、小学校の先生だったおばあちゃんが生徒、そして講義で再会した、というわけだ。ドラマチックすぎる。どこの部分が嘘だろう?

グラムの話に戻す。うちの大学にはパークウッドという寮がある。パークウッドには小さな家が何十軒も建っており、5~6人の生徒がそのうちの一軒をシェアして共同生活する。グラムは去年パークウッドに住んでいた。その時のハウスメイト(同じ家をシェアしている人のこと)の一人が、問題の中国人である。

その中国人、彼は以前からおかしかった。台所は汚す、掃除もしない、使ったら使いっぱなし、ハウスメイトと話もしない。極めつけは正月。中国人の友人を十人近く部屋に呼んで、大晦日から三日間、毎晩宴会をやって夜通し騒ぎ続けたという。三日連続でだ(ちなみにグラムはこの時すでに一度警察を呼んでいる)

事件はある夜起こった。仮にこの中国人をCと呼ぼう。グラムとCは部屋が隣。Cに睡眠を害されることは慣れっこだったグラムだが、この日は様子が違う。隣の部屋からアンアンという女の声と、「色情象到大性!」(←適当)と叫ぶCの図太い声、そして平手打ちの音がする。

女「アッ、アッ、アン」
C「网站得到很大的!」
パシッ、パシッ!(←平手打ち)
女「ンッ、ンッ、アッ!」
C「配此瓶件的!」
パシッ、パシッ!(←平手打ち)

…グラムも32歳なので、二人がスパンキングプレイ(知らない人はGoogleに訊いて下さい)をしているのはすぐわかったらしいが、わかったからってハイそうですかとはいかない。アンアン・ニイハオ・パンパンを聞きながらぐっすり眠れる人がいたら、そいつは神か変態だ。

グラムは考えた。「しばらくすれば収まるだろう、紅茶でも飲むか」とキッチンに降りたグラム。そして彼が目にしたものは、

『床一面に広がり、壁にまで飛び散ったゴマ油。』

やはり実話はすごい。意味がわからない。こぼしたのなら床はわかるが、壁の高い部分もベッタリだったというからこぼしたのではない。何かのプレイだろうか。気になる人は今度身近な中国人に聞いてみて下さい。

グラムも「間違いなくCの仕業だ」とは思ったが、共同のキッチンである。しぶしぶ掃除を始めた。と、這いつくばって床を拭いてるグラムの前に、のっそりとCが現れた。

全裸で。

やはり実話はすごい。フィクションではこんな思い切ったことは書けない。しかもCは平然と冷蔵庫から牛乳を取り出し、そのまま部屋に帰ろうとしたと言う。慌てて引き止めるグラム。訳しづらいので所々英語で。

「お前がやったのか?」
「No, it's no problem.」
「Yes, it IS a problem! お前がやったのか? なら掃除してくれ」
「No, no. It's no problem. It's no problem.」
IT IS A PROBLEM. 早くやってくれ」
「No-no-no-no-no, it's no problem, it's not.」

ここでグラムぶち切れる。そしてイギリス人らしい暴言を吐いた。

「このファッキン中国人め! お前は ass-hole だ!」
「?」
「お前は、ASS-HOLE だ!」
「What, Pardon?」
(自分の尻を指差しながら)お前は、尻の、穴だ!」
「!」

さすがにアクションでわかったらしく、中国人、猛然と切れる。しかし、喧嘩の最中にご親切にも自分の尻を突き出して、それを指で差しながら「お前は大馬鹿野郎だ!」と怒鳴るグラム。彼も相当な馬鹿だ。

カッとなったCはとっさに中国語で何やら言い返したらしいが、グラムがもう一度「お前は ass-hole だ」と言った途端、手近な引出しを開けて刃渡り12センチのキッチンナイフをとりだし、すかさずグラムに突きつけたという。

ここで忘れてはいけないのが、この時この中国人は全裸だったということだ。スパンキングプレイの途中で牛乳を取りにキッチンに降りてきた全裸の中国人に刃渡り12センチのナイフを突きつけられるという状況。理解できない。シュールすぎる。しかも原因はゴマ油

続き。ナイフを構えたまま「刺されたいか?」と問う、全裸でナイフの中国人。「いや、死にたい奴なんていない」と冷静に答えるグラム。圧倒的に体格が有利だったことも味方してナイフを持つ手を押さえ込み、無傷で部屋に逃げ込んだグラムは、すぐさま電話して警察を呼んだ。正しい判断である。警察は五分と待たずに到着した。

警察が来たとき、Cはすでに自室へ戻っており、服も着ていた。そして問い詰める警官相手にやはり

「It's no problem, it's not.」

と言い続けたらしい。見上げた根性だ。

取調室では「グラムに殴られた、ナイフは正当防衛だ」と主張して言い逃れ、数日後にのこのこ帰ってきたという。大学の判断でその後Cはパークウッドを追い出されたが、この九月にはキャンパスに戻ってくる。どこかで会えないものかとちょっと期待している。何故ゴマ油を壁にぶちまけたのか? と聞いてみるためだ。

グラムはオフキャンパスの家に引っ越した。今度の日曜にバーベキューに呼ばれたので、また面白い話が聞けたら書き加えよう。