PLAYNOTE RSC『Macbeth』

2004年06月08日

RSC『Macbeth』

[演劇レビュー] 2004/06/08 19:30
Greg Hicks as Macbeth
血まみれのマクベス

RSC観劇二本目。シェイクスピア四大悲劇のうちの一作、マクベスを観劇。

よくある現代風アレンジの衣装。年代的には19世紀くらいのつもりなのかな。出演者は中世の甲冑のかわりに軍服をまとって登場。プラスにもマイナスにもなってなかったので、まぁよしとする。個人的には華々しい鎧兜が見たかったけど。

英語が不自由な俺にも、魔女の予言にたぶらかされ徐々に手を血の海に浸していくマクベスの心の変化がよく伝わる見事な演技。ラスト、部下が一人また一人と寝返る中、一人部屋にたたずみ戦況とそして人生を達観するマクベスの姿が、実にくっきりとした悲劇の陰影をまとって現れていた。例の、

Life's but a walking shadow, a poor player
That struts and frets his hour upon the stage
And then is heard no more:

という一節が、耳にこびりついて離れない。終演後、Avon川のほとりを歩きながら幾度となくつぶやいてみたが、あの田舎ハゲの頭のどこにこんな哲学が宿っていたというのだろう? 有名なことは知っていたし邦訳も読んではいたが、この台詞をこれほどまでに意識したのはこれが初めてだった。マクベスの人生を通観して、はじめて響く台詞。

マクベス婦人も"unsex"(二人の間には子供がない)ゆえの色香と執着が感じられ、いいキャスティングだったと思う。「血が落ちない」と言って手を洗い続けるシーンや叫び声を聴いた時、すごい役者がいたものだとつくづく感じた。

照明の使い方が実に巧みで、光と影、シルエットと閃光、あと何だかよくわからない特殊効果(でっかい顔が舞台上にどんと出た)もあって、舞台を引き締めるのに一役買っていた。

役者の演技がどうとかは英語がわからんので何とも言えんが、間違いなく偉大な悲劇を観た。カタルシスどころか、観終えたあとしばらく暗澹とした気分が晴れなかった。あのハゲめ。