PLAYNOTE 『ロードオブザリング 王の帰還』

2004年02月21日

『ロードオブザリング 王の帰還』

[映画・美術など] 2004/02/21 02:09
フロド・バギンズ
Frodo Baggins

よかった! とにかくよかった。納得の出来。原作への思い入れが強過ぎるので、到底客観的な評価はできそうもないが、手放しで喝采したい。よくもここまで原作の情感と世界観を映像化したものだ。新宿ピカデリーにて鑑賞。

原作の『指輪物語』は、オックスフォード大学の言語学教授でもあったJ.R.R.トールキンが十年以上の歳月をかけて執筆し、1950年代に出版され世界的な大ベストセラーとなった長編小説。作品にはトールキンの創作言語であるエルフ語(シンダール語とクウェンヤ語)が用いられ、また、随所に中世英雄詩や北欧神話の影響が見られる。

力の象徴である『指輪』を手に入れた主人公らは、それを使って敵を倒すのではなく、それを捨てることで争いを解決しようとする。核の危機とベトナム戦争の真っ只中にあったアメリカ国内では若者たちのバイブルとなり、「ガンダルフを大統領に」というポスターが貼られたこともあったと言う。

参考:ウィキペディア『J.R.R.トールキン』

……というのはあくまで概ねの話。とにかく長くて重層的な話なので一元的な解釈は意味がない。もう四~五回は読み返したと思うけど、その度に胸に込み上げるものがある。「絶対に映画化は無理」と言われたこの作品を、本当によくぞここまで原作のイメージを損なわずに映画化した物だと思う。ちなみに、スターウォーズのジョージ・ルーカスやビートルズ(!)も映画化を企画したことがあったそうだ。

参考:ビートルズの指輪

監督のピーター・ジャクソンはホラー映画の監督として名を馳せた人物だが、さすがに見せ方がうまい。スリリングで客を飽きさせず、かつ描写も冗長になり過ぎず、エンターテイメントとしてきっちり成立している。原作での『王の帰還』は合戦シーンも少なく、フロドとサムが餓えと乾きを堪えながらひいひい山を登ったり降りたりする場面がほとんど。これほどのスリルとテンポの良さを画面に与えただけでも、PJ、やはりすごい。

イライジャ・ウッドの演技もGood。今回は特にサムに目を奪われる人が多いだろうけど、指輪の魅力に心を蝕まれていく様子をしっかり演じている。最後に西方へ旅立つシーンなんかも、決して癒えない傷("It will never really heal.")を抱えた哀切を漂わせていて素晴らしい。

とにかく原作が巨大過ぎるので、ストーリーが悪いわけはないし、ただただ圧巻だった。まぁどーせ特典映像が山ほどついたDVDボックスが発売されるんだろうから、それ買ってまたじっくり見よう。これで、うちの本棚の一角にあるトールキンスペースにDVDも加わることになる。

気に入った台詞。今回は結構英語が聴き取れたので、その分訳が結構気になった。

"End? The journey doesn't end here. Death is just another path, one we all must take."(ガンダルフ。怖じ気づくピピンに語る)

"I think I'm quite ready for another adventure."(ビルボ、西方への出立前に)

"We set out to save the Shire, Sam. And it has been saved, but not for me."(フロド。二つ目の台詞が「旅に出なければならない」とか適当な訳をされてて腹が立った)

「死に向かって戦え」という台詞が非常に多かったが、これも中世英雄叙事詩の影響らしい。主君を失った兵士たちが、仇討ちのために負け戦に繰り出す…というのが王道だったそうな。理屈はともかく、聞いていて身の毛がよだった。

Theoden: Ride Now! Ride now! Ride! Ride to ruin and the world's ending! Death!
Rohirrim: Death!(セオデン王の呼び掛けに応えるローハンの兵士たち)

"Hold your ground! Hold your ground! Sons of Gondor, of Rohan! My brothers! I see in your eyes the same fear that would take the heart of me! A day may come when the courage of men fail, when we forsake our friends and break all bonds of fellowship. But it is not this day. An hour of wolves and shattered shields, when the age of men comes crashing down. But it is not this day! This day we fight! By all that you hold dear on this good Earth. I bid you stand, Men of the West!"(アラゴルン、黒門前で兵士たちを鼓舞する)