2004年02月15日
実家に帰ってみた
雑記・メモ, 22:24

「お国の為に!」
祖父母が住む福島の実家に帰ってみた。留学前の最後の帰郷だろう。イギリス留学の報告をして、一緒にテレビを見て、メシを食って帰ってきた。
数年前、軽自動車を運転中にトラックと正面衝突して以来、じいちゃんは寝たきり。普通だったら100%死んでる事故だから、生き残ったのは奇跡だった。痴呆が始まったのはそれからだ。前に帰ったときは軍歌をひたすらに歌っていた。晩年になると誰もが人生の最も輝かしかった瞬間に帰ろうとすると言うが、大正生まれのじいちゃんにとってのそれは、出征の思い出なのだろう。
スキージャンプのNHK杯を観ていた。100m、110m。よく飛ぶものだ。スキージャンプ。すると、じいちゃんが言った。
「大したもんだなァ、こいつらは。よく飛ぶもんだ。大したもんだァー。賢一は大したもんだなァー」
いやじいちゃん、俺飛んでないから。
ばあちゃんがぽそりと、あの事故の時に死んじまえばよかったんだ、こうやって寝たきりのままボケてくくらいなら、と言った。俺は何も言うことができない。ばあちゃんは夜中も三時間ごとに起きて、じいちゃんに寝返りをうたせ、下の処理をすると言う。そんなばあちゃんの言葉を前にして、俺は何も言うことができない。
最後に「一生懸命勉強してきます」と言ってきたが、その言葉もじいちゃんにはよくわかっていないようだった。




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