PLAYNOTE みうらじゅん原作『アイデン&ティティ』

2004年02月13日

みうらじゅん原作『アイデン&ティティ』

[映画・美術など] 2004/02/13 10:07

みうらじゅんの人気コミックを映画化。つってもそんなコミック知らん。タイトル的にはイマイチながら、どっかで予告編を見て惚れた。風采の上がらないロック青年の主人公・中島(峯田和伸)がボーカルのジョニー(中村獅童)と言い争うシーン。こういうお洒落じゃない映画を観たい、ザラついた映画が観たいと思った。

個人的には90点。いい映画だった。これは映画として見てはいけない。ロックとして聴くものだ!シネセゾン渋谷にて。

シャウトする
Shouting 中島

映画としてどうだったのかと問われれば、「どうでもよかった」と答えるだろう。ロック好きでないとわかんないネタがあまりにも豊富で、ロック好きにとってはそこがグサリと来るんだが、知らない人には何もわからない(少なくとも60年代の音楽シーンにおけるボブ・ディラン登場の衝撃と、イカ天およびバンドブームの熱狂を知らない人にはかなり厳しい)。構成も独白ばっかだし台詞長いし、「よくできた映画」ではなかったと思う。

だが、そんなことはどうでもいい。いい映画だった。浅薄だが、軽薄ではない。

中島の悩みの吐露を聞いて、多くの人は「青臭い」「まだまだ甘い」と言うだろう。ただし、微笑しながらその台詞を言うのと、鼻で笑いながらその台詞を言うのではニュアンスがまったく違う。俺は青臭いなぁと思いながらも苦笑いせずにいられなかった。

ロックや創作活動に傾倒したことがある人間なら、青臭いと感じながらも悩みに悩んで高円寺のアパートを転げ回る中島に過去の自分の似姿を見出すだろう。そういう経験が全くない人や、あっても生まれ変わってしまった人は、たぶん鼻で笑って終わりの作品だ。

一番心に響いた台詞。

「僕のロックには嘘がある。不幸にして、不幸なことがなかった。それが僕のコンプレックス」

日本でロックをやることの難しさ。天才を持ち合わせない人間が、創作活動を続けることの厳しさ。浅薄な描き方だったが、ストレートで真面目で不器用で、俺はこういうの大好きだ。「よくできた映画」なんかより、よっぽど「いい映画」だったぜ。

中島の彼女
中島の彼女

追記。中島の彼女の存在がすっげーリアルで怖かった。あのタイミングで浮気の告白とかしやがる辺り、最高にいい女だ。風呂屋の前で留学の話を切り出したりするのも「ふざけんな」って感じだ。でも、我が侭や身勝手もブ女がやるとうざいだけだが、いい女がやると逆に魅力になるものだ。役者は別に好きじゃなかったが、台詞や間に妙なリアルさを感じて怖かったな。ちょっと元彼女に似てる。

コメント

投稿者:ピンポンダッシュ くろさわ (2005年11月27日 01:57)

響いた台詞、私も同じです!!私も「いい映画」だと思います。感性を信用している友人から強く勧められて原作から読んでみました。基本的に原作が好きな漫画が映画になるの大っ嫌いなんですがこれは好きです。
「生まれ変わってしまった人」が私の周りにもいますが、私は「生まれ変われない人」でいたいです・・ってかいると思います。
彼女、いい女ですよねぇ。私は「マザーは安定型じゃない・・・」のくだりにぐっときました。

投稿者:Kenichi Tani (2005年11月27日 14:45)

僕は逆で映画観てから原作読んだけど、雰囲気の違いにびっくり。個人的には映画の方が好き…な気も。