PLAYNOTE 『チェーホフ全集 11・14巻』(中央公論社)

2004年02月01日

『チェーホフ全集 11・14巻』(中央公論社)

[読書] 2004/02/01 18:25
チェーホフの肖像
真理ばんざい!

さすがに俺も四大戯曲(『かもめ』『ワーニャおじさん』『桜の園』『三人姉妹』)以外は読んだことがなかったので、この機会に借りてきて読んでみた。そんなに数はないんだな。全集が全16巻とかだったからちょっと身構えたが、やはり予想通り小説が大半だった(チェーホフは実はモーパッサンと肩を並べる短編小説の名手でもある)

『熊』は、喪に服している後家の下に金を返せと熊のような男が現れ、決闘だ何だと騒いでいるうちにお互い好き合ってしまうという話。無理な展開が一つもないのに物語に勢いがある。さすが。

『プロポーズ』は、隣家のお嬢さんを嫁にもらおうとプロポーズに来た男が、土地の所有権だの犬の良し悪しだので当の娘とその父親を相手に延々口論する話。外国の戯曲を読んで素直に笑えたのってはじめてかも。すごく自然な喜劇。ちょっと言葉尻をいじればそのままテレビドラマにでもできそうなくらい現代に通ずる笑い。面白かった。

しかし、割と陰惨なタッチの戯曲を期待していたのだが、もろに笑劇ばっか。チェーホフというよりチェーホンテ(チェーホフの昔のペンネーム)の書いた作品ばかりだ。うまくやれば笑えるかもしれないけど、どんなにうまくやってもそれ以上にはならないだろう。

老いた道化役者の悲哀を描いた『白鳥の歌』なんかは、六十がらみの名優がやれば感動的な舞台にもなり得るだろうけど、大学生が演じ切れるもんじゃないしなぁ。『街道筋』『プラトーノフ』は長過ぎるし。

やっぱり岸田國士かしら。他に短編戯曲を書いた人って誰がいるんだろ。ちょっと本腰入れて調べないとまずいな。