PLAYNOTE 『岸田國士全集1・3巻』

2004年02月01日

『岸田國士全集1・3巻』

[読書] 2004/02/01 18:00

次の公演でどれ演ろう、と思って借りてきた(※あらかじめ断っておきますが、このエントリーは岸田國士賞とは何の関係もありません)。いくつか感想とメモを。

第一巻。『ぶらんこ』が面白い。ラストで同僚が登場することで、それまでの何気ない会話がふと意味深なものに思えてくる。

他には『命を弄ぶ男ふたり』の設定はかなり面白いと思ったが、二人の自殺動機が現代から考えるとあまりに馬鹿らしい(というか純情過ぎて信じられない)のと、ラストが清々し過ぎて何だか腑に落ちないのでイマイチ。

やっぱり恋愛に対する考え方が全然違う。『恋愛恐怖病』は、海岸でおずおずと相手の気持ちを探り合う男女二人の話。この時点でかなり厳しい。さらに、「彼女は僕を通して君のことを愛そうとしているのかもしれない」なんて台詞を吐く。これは無理だー。

俺がやった『葉桜』は、まだまだ全然現代の母子に還元して見られるけど、こんな恋愛の形って今はもう残ってないもんな。そういう意味では、親子って関係は時代が経っても変化が少ない関係なのかもしれない。恋人となると、平安と明治と平成、同じ日本だけでも随分違うし。

第三巻。『ヂアロオグ・プランタニエ』『写真』『空の赤きを見て』などの良質のスケッチ劇が並ぶ(第一巻にも『葉桜』『動員挿話』など良作は多いんだけど、学校の授業で読んじゃった奴は飛ばしてるので↑には書いてない)。スケッチ劇とはいわゆるテーマ劇の対概念で、岸田國士がテーマ劇旺盛の頃にその向こうを打って書いてみたものらしい。

『空の赤きを見て』は、昭和二年(1927)に書かれた老人介護の話。親子の愛や人間の裏表が克明に描かれており、スケッチ劇の名の通り価値判断は加えていないだけに読み出のある作品。これいいな。

ラジオの向こうで実験してるという設定の『ガンバハル氏の実験』や、親父の亡霊が出て来る『ある親子の問答』、「緑衣の男」「黒衣の老人」という風に四人の登場人物に色が設定されている『新年協奏曲』など、変な戯曲が多い。岸田國士も駄作…じゃなかった、変なの書いてるんだなぁ。

今度残りの戯曲編と、いくらか論説集借りて来よう。今回読んだのは、『岸田國士全集1・3巻』(岩波書店)。