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ヤン・フジェベイク監督『幸福の罪』

眠れないからアマゾンプライムビデオで退屈そうなヨーロッパの映画でも観よう。ああ、チェコの映画がある。チェコの映画なんてみんな長くて観念的で退屈に違いねえや、きっと眠くなるぞ、こりゃあいい……と思って見始めたら、最後までバッチリ観てしまった。

恋愛映画とは呼べないけれど、これは性愛映画だ。性愛のデリケートで難しいところをよく描いている。……物語の発端自体は、とある医師に対する小児性愛・児童虐待の嫌疑・告発・逮捕というところから始まるのだが、途中からは心理劇になる。主に3人の女性を中心に、なぜ、どうしてそう振る舞ったのか、そんな嘘をついたのかが描かれていく。地味だが丁寧な筆致で、舌を巻いた。台詞に無駄がない。

セックスとは不思議な行為だ。肉欲を満たすための行為なのに、どうしても精神性を帯びる。この映画では女性の視点から見た性愛における支配欲、非支配欲、優越感、嘘、劣等感など様々な感情が映画化されている。観ていてとてもハラハラした。よく出来た小説を読んでいるようだった……つまりよく描写されていたということだ。

眠ろうとしたのにこんな面白い映画を引き当ててしまうなんて。映画なんてハズレばっか引くのにな、普段の俺は。

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